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「俺、お前テストする。満点合格、気絶させる。OK?」
「何でカタコト……まぁ、分かったよ。とにかく、私は負けたんだね……」
「別に落ち込まなくてもな……例えお前の父さんの教えでも、負けるときは必ず負けるのさ」
そう、俺とマリアさんの戦いみたいに。どう足掻いても勝てない戦いだってある…………てか、マリアさんにゲームで勝てるやつが全異世界を探してもいない気がする。
「何で…………!?」
「何で知ってるかってか? そんなのお前の心を読んでるからに決まってるだろ?」
正確には相手の思考を得ている、だけどな。
「えっ……へ、変態だよ! 乙女の心を……」
自分の思考が丸裸になっているのを理解したヒリエは、照れ隠しに俺に対してちょっとした暴言を吐く。
いやー、照れ隠しって分かる暴言ほど良いものはないね。ツンデレは論外だが。
「仕方ないだろ。これは俺にも制御できないんだから。みんなの思考が分かるのも中々苦痛なんだぞ?」
「…………そう、だね」
自分がその状況に陥った時の事を想像したようだ。とても悲哀に満ちた顔で俺の事を見つめてくる。
まぁ、俺が苦痛に思ったことなんか一切無いけどな。そもそも悪い心を持たない者なんて存在しないのだから。
「まぁ、その話は置いといて…………お前も授業に参加しろ。いつまで俺の上に乗ってんだよ」
「え…………ふわっ!? ご、ごめんね!」
やっと自分の状況に気がついたヒリエは、俺の上から飛び退きそのまま何処かへ行ってしまった。そして黒いローブをボックスから出して羽織り、何食わぬ顔で俺の元へと戻ってきた。
「うぅ……獣人だって隠してたのに……」
「別に隠さなくてもいいだろ。虐められる訳でもないし」
セイアとエリーがいれば間違いなく虐められないな。あの二人正義感強いし。
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