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「でも……お母さんが絶対にフードを被りなさいって言ってたし…………」
「ほう……何でか訊いてないだろ?」
「うん……どうせ耳の事かと思ったし……」
……これだけは言える。ヒリエの母は絶対に耳の事を言ってた訳じゃない。
いや、少なからず理由の内に入っていたかもしれないが…………一番はその容姿だと思う。
こんな可愛い子を親が顔出しで外に出したい訳がないよな。しかも耳を隠せて、帝としての正体も隠せる。一石三鳥とはこの事だな。
その結論に至った俺は大きく溜め息を吐く。その俺の姿を見て自分との話に飽きてきたのだろうと勘違いしたヒリエは、フードを翻して闘技場の端へと移動した。そしてそのまま自分なりの魔力コントロールの練習を始めた。
「…………で? いつまで此処に居るんだよ?」
俺は若干空気になっていたユウに話し掛ける。
「う、うるさいわね。私の勝手でしょ」
現実のツンデ(ry
俺はそんな反応を見せてくれたユウを無視して闘技場を一回見渡す。そして立ち上がる。
「Sクラス! 全員集まれ!」
俺が大きな声を張り上げると、ちゃんと全員集まってくれた。心の中は嫌みだらけだが。
「えーと、お前ら10人はこの時間の成績ゼロな。それ以外は満点をくれてやる」
『はぁ!? ふざけんなよっ!』
チャラい&ケバいの男女10人組が怒る。俺はそんなのを意に介さず話を続ける。
「だが、セイアとエリーには次の授業で加点するボーナスをやるぞ。一番効率のいい魔力コントロールの練習をしてたからな」
「やったねエリーお姉ちゃん!」
「うむ!」
『話を聞けよアホ教師!』
エリー達の微笑ましい姿を見てると心が和むなぁ…………あの10人組が居なければもっと和むんだけどな。てか、さっきから心の暴言を吐いてたのコイツらだったんだな。あまりにも興味がなくて放っておいたんだが。
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