第一話

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いつも通っている喫茶店に俺は居た。 カウンターでアイスコーヒーを飲みながらただぼーっとしているのがなんだか落ち着いてその空気も好きだった。 「ココア一つ…下さい」 可愛いらしい声が隣から聞こえて横を向けば、少し小柄な少年が椅子一つ空けた席に腰掛けた。 横顔だけでも綺麗だと、そう思った。無意識のうちに見ていたらしく、彼の顔がこちらを向いた。 「あっ…、」 やばい。絶対気持ち悪いとか思ってるよな…知らないやつからまじまじと見られてたら… 「こんにちはっ」 俺の予想とは裏腹に、彼の口から出てきたのはそんな言葉で。ふふっと笑いながら、そう挨拶してきた。 「あっ、どうも…」 どきりとした。それと同時に思ってしまったんだ、ああ、好きだな、と。まさか自分が一目惚れするなんて…
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