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「俺、長生き出来ないみたいだから」
「な…何を言ってるの?」
「だからさ…元気なうちに
お前をたっくさん抱いてあげる」
笑いながら言った彼。
けれどその瞳はとても
嘘をついているようには見えない。
「本当なの…?」
「うん、ホント。
だけどさ…ひとつだけ約束して」
「…何?」
彼と私の間に、響くのは
さわさわと流れる川のせせらぎ。
傾き始めた夕陽に照らされた彼は
オレンジ色の微笑みと共に、
残酷な言葉を落とす。
「天国で結婚しような」
──それが彼と私の始まりだった。
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