第1話

「ねえ、しゅーちゃん！真樹くん情報!!!」

「おぉ、なんだなんだ!!!」

「真樹くんは基本、無愛想。適当。でも日和ちゃん大好き人間。」

「なんか、傷つく情報だね、それ。」

「あたし、日和ちゃんに聞こうか？真樹くんのこと。」

「それ、あたしも聞きに行きたいかも」

「じゃ、行こーか!!!」

喋ったこともない日和ちゃんに話しかけに行く。しかも真樹くんのことを。

絶対変な人だって思われそう。

「あのー…日和ちゃん…だよね？」

「え…。あ、はい！日和です！」

「あたし、櫻井珠羅。こっちは三村緩菜。」

「あたし、緩いって呼ばれてるから緩いって呼んでねっ！」

「あ、うん！わかった！」

「あの、突然ごめんね。真樹くんのこと聞きたくて。」

内心あたしはドキドキだった。

だって、いきなり知らない女子二人に大好きな彼氏のこと聞かれたら誰だって驚くだろう。

「真樹のこと…？」

「うん」

「えっと、あの、真樹とは付き合ってます…。」

「あっ！ごめん！それは知ってる！
どこが好きとか真樹くんの性格とか…！」

「えっと…真樹は、とにかく適当。返事も一言二言だし。いつもニコニコしてるタイプじゃないし。」

ふーん。王子キャラでは無いのかあ。
さすが、彼女。詳しいな。

「でも、その適当感が面白いってゆーか…不快感を与えないの。何故か。」

「なんか…不思議な人なんだね」

「うん。あとね、笑うとすごく可愛くて。多分、愛情表現とか苦手なんだ。なんか不器用で。でも、あたしを不安にさせないように一生懸命なの。だから…すごく、好きなんだ。」

真樹くんの話をしてる日和ちゃんは、すごく可愛くて。

愛しそうに話すからあたし、なにやってんだろ。なんて思えてきた。