第1話

6/6
前へ
/6ページ
次へ
「ねー、しゅーちゃん!日和ちゃん、なんか、かわいかったね!」 「緩い…」 「ん?」 「あたし、真樹くんに話しかけに行ってくるね」 「え。ちょ!!しゅーちゃん!?」 走るんだ、あたし。 真樹くんの元へ。 すごくすごく知りたいんだ。真樹くんのこと。こんな想い、初めてだから。 「真樹くんッッ!!!」 「…え?俺?」 「う、うん。あたし櫻井珠羅。」 「あ、うん。こんにちは。」 あまりにも突然すぎるあたしの呼び掛けに真樹くんも驚いてた。 「あの、真樹くん。あたしと友達になってください。」 「いーけど、なんで俺?」 「なんか、えっと、王子様みたいだから…」 パニックになりすぎて、あたしは完全に変な発言をしてしまった。 真樹くんの第一印象。それは、王子様だから。 「姫。」 「…え。」 「あれ?いま俺さ、王子様っぽく言ってみたんだけど。違う?いまのアウト?」 そう言って優しく笑う真樹くん。 なんなの、この人。 可愛すぎるよ。 「いや、セーフ!!むしろ正解!!」 「正解って!」 真樹くんは、たくさん笑うんだ。 ニコニコじゃなくて、ちゃんと笑うんだ。 楽しそうに。 だから、その笑顔を見てたらあたしまで笑顔に、なっちゃうんだよ。 「…好きだよ。」 「え?なに、姫って呼ばれたいの?」 「あたし、真樹くんが好きだよ。」 「俺…?」 「あっ!なんでもない!違うよ!気にしないで!じゃあねっ!」 あたし…バカだ。 バカだ。バカだ。バカだ。 真樹くんの笑顔みてたら、真樹くんの言葉を聞いてたら、こんなにも切ないぐらいに好きが溢れて止まんなくて。 言葉にして伝えてしまっていた。 「はあ…。もう…やだよぉ…。」 涙が止まんない。 真樹くんに伝えてしまった後悔。 真樹くんを好きになってしまったこと。 何よりも…どうしようもないぐらい好きなのにこの恋が叶わないことが悲しくて仕方がなかった。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加