黄昏の魔導士

2/3
前へ
/3ページ
次へ
ここはフェンデム王国の首都メルポリス郊外の広大な平地。名前はまだない。 現在の時刻は午後4時56分。 太陽が地平線の彼方へ沈みゆく夕暮れ時だ。 しかし……一体どういう訳か、辺りに光は無く、薄暗い闇に包まれていた。 「ジャック先輩……僕ら頑張ったっすよねぇ…」 ジャックと呼ばれたその男。本名はラバージャック・スコルニアという。 オシャレを勘違いした様なボンバーヘッドにサングラスという、見ていて痛々しいナリをした男だった。 因みにストーリー上、覚えなくても特に支障はない。 「おぉう、そうとも。俺様たちはよ~ぅく頑張ったとも。だがなぁB.J.今回ばかりは相手が悪かったのさ。ヤツは人間如きの手に余らぁ」 B.J.と呼ばれたその男。本名はビリー・ジョーという。 ジャックとは違う天然物のパーマ。人懐っこそうな糸目の目元はうっすらと涙に濡れていた。 因みにストーリー上、覚えなくても特に支障はない。 「うぅ…そうっすよ……。あんな怪物に人間が勝てるわけなかったんす。あんな……あんな……ッ!」 ビリーは西の空を睨みつける様に注視した。陽が沈みゆく方角だ。相変わらず光はこちらまで届かない。 遥か彼方で、あらゆるギルドの魔導士達が応戦しているのが伺える。 炎、雷、氷。多様な魔法が色鮮やかな線となり、巨大な山へと伸びていく。
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加