序章

26/40
前へ
/580ページ
次へ
空達はようやく地上へと戻ってきた。 幸い、校舎は窓ガラスが数枚割れただけで、崩壊などはしていない様子だった。 「今日はもう授業は中止です。皆さん、安全第一で帰るように」 担任から伝えられる授業中止の旨。 退屈な授業が無くなるのは喜ばしい事だが、生徒の中には誰一人として嬉しそうな顔をしている人はいない。 誰もが自宅や家族を心配しているのだから無理もない。 「空ち、また今度カラオケ行こう。ちょっと今日は無理っぽいし」 こんな時でも、こんな時だからこそ凜はどうにかして気分を盛り上げようとそう提案する。 「うん…」 勿論、空も吝かではないが、今は自身と一般人とのズレに不安を覚えていたので、気の無い返事しか出来なかった。
/580ページ

最初のコメントを投稿しよう!

44人が本棚に入れています
本棚に追加