序章

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そこには一人の人物が先客として居た。 人影を見付けるなり、空は身を潜める。 相手に気付かれないように少しずつ近付き、先客が誰なのかを確認するつもりだ。 しかし、素人のスニーキングなど高が知れている。 近くにあった木の枝に腕を引っ掛け、すぐに物音を立ててしまった。 「……ヤバっ…!」 あまつさえ声まで出してしまう始末。 当然、相手方もその存在に気付いたようで、空の方を向いた。 そして更に、空の方へと歩み寄って来る。 「……もしかして、神崎空さんですか?」 空に投げ掛けられたのは攻撃ではなく質問であった。 「え…?は、はい……?」 空も改めて質問の主を確認する。
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