序章

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そこにいたのは四十手前ほどの年齢の男性であった。 「あぁ、やはりそうでしたか。大きくなりましたね」 その言葉から知り合いである事が分かる。 空は必死に脳内で照合しそうな人物を探した。 「あ、もしかして…」 「覚えていてくれましたか」 男性は安心した表情を見せる。 「お母さんの知り合いだったりします?」 しかし、空は思い出せた訳ではなく、ただヒントを欲していただけだった。 途端に男性の表情が曇る。 「……そうですよね…。所詮地味な存在ですからね…。忘れられて当然ですよ、ハハ……」 かなりネガティブになる男。 「あっ!思い出した!久保(クボ)さんだ!お父さんや陽さんの同僚の!」 と、空もようやく彼が誰か分かった様子。
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