破章

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そしてサビを歌い終わり、いよいよ曲が二番に入ろうとしたその時だった。 空がふと部屋の扉に目をやると、扉の向こうに誰かが立っていたのだ。 磨りガラス越しに見えるその人物。 一瞬、空は大きな部屋を占領している事を快く思わない人が覗いているのかと思った。 しかし、空は気付いた。 磨りガラスから見える黒い影のような人は、いつか墓地で出会った謎の人物であると。 そう思い当たるとほぼ同時に、謎の人物は身を翻して扉から離れて行った。 「凜、ちょっと歌ってて」 そう言って空は立ち上がり、マイクを置く。 「へ…?ちょ……!?」 困惑する凜を尻目に、空は部屋を出て行った。
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