兄ちゃん、…………

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「いいから…目、閉じて…」 「…んな、えっ? ちょ…っふ、  」 手のひらで目を塞がれ、代わりに視覚以外が敏感になる。 来斗の息づかい。 衣擦れの音。 混じり合う唾液の音。 自分自身の鼓動。 相手の体温。 「は、んぁ…む………ふ…はっ…」 どれも童貞の俺には刺激が強すぎる。 しかも、妄想ぐせ。 いちいち兄ちゃんの顔が思い浮かばれて、俺自身の高ぶりは増すばかり。 「………」 「…ちょっと、来斗…… どこ触って……うぁ」 俺自身を服の上からしごかれて、変な声が出る。 こんな甘ったるい声が出るのか… 羞恥に顔が火照っちゃう。 すると、視界を遮っていた手のひらが外れる。 かちゃかちゃ。 じーっ。 「おいおい…! さすがにそれはちょっとマズイんじゃない? 今ならまだ引き返せる…」 キスを拒めないやつが何を言ってるんだろうね! でも、これ以上やらかしたら、俺はガチで変態糞野郎だ。 来斗も。 「…もう構わないよ。 …振り向いてくれないのはわかってる… せめて…」 .
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