兄ちゃん、…………

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「………ただいま」 あ、兄ちゃん、帰ってるみたいだ… ―気まずい― 「―…え」 一瞬よぎった自分の心情に、俺自身が戸惑いを隠せなかった。 どゆこと? こないだまでは…どう…してたんだっけ? 兄ちゃんがいて、気まずいって思ったこと…あったっけ? …ないな。 帰ったら、速攻求婚迫ってたし… ……あれ。 俺なんか調子悪い。 最近求婚してない… そんなことを呆然と考えていると、玄関の音に気づいた兄ちゃんが、リビングから顔を出した。 「…なんだ、譲か。」 「た、ただいま」 「ん」 短く返事をした兄ちゃんは、リビングに戻っていった。 追いかけたくならない。 むしろ、ホッとしている俺がいる。 .
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