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「「ふ―――…」」
二人同時に息が漏れる。
また少し気まずくて、兄ちゃんに向かって困った笑いを浮かべた。
兄ちゃんもこっちを向いてはいたけど、少しムッとしただけで、岩によりかかる。
感情が読めない…。
兄ちゃん、今、何を考えてんだろう?
ここ最近の自分を思い出したら、また腹が立ってきた。
嗚呼、本当に、俺、馬鹿だなあ。
折角の家族旅行なのに、はしゃげないなんて。もったいないよ。
ざばっ、と、浴槽から出て、無言でサウナへと向かう。
…今は…何も考えたくない。
兄ちゃんと一緒にいると、いらんことを考えてしまう。
「…もう上がるのか」
「………
サウナ、行ってくる」
兄ちゃんの顔も見ずに、答えた。
俺の馬鹿。
そんな言い方じゃ、なんか、本当に兄ちゃんのこと嫌いみたいじゃないか…!
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