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「それから、お互いの家を行き来するようになってね。
瞬も、譲の面倒をよく見てくれたよ」
俺が二歳、兄ちゃんが七歳の時。
再婚、ということだった。
「…父さん」
「ん?」
「今まで育ててくれて…
ありがとう…」
「………」
父さんは、何も言わなかったけど、照れ臭そうにはにかんだ。
「…父さん。
俺と父さんが似てるってことは、俺を生んでくれた母親と、父さんも似てるの?」
「ああ、そっくりだよ。」
「へぇ~」
そう言って、財布から一枚の写真を取り出した。
結婚式の写真のようだ。
少し太めの眉とたれ目は、家系だろうか。
本当によく似た兄妹だ。
「譲は妹にそっくりだよ。
口ぶりも…本当に…」
「………そっか。」
会ってみたかったなぁ…
今度、お墓参りにいこう。
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