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雨足は弱まらない。
しとしとと、降り続いている。
やまないかなぁ、と思っていたら、唐突に、兄ちゃんが口を開いた。
「……譲は、俺のことが嫌いか?」
「えっ!?
いやいやいや…滅相もございません!!」
思わずそう答えて、瞬の顔をみると、珍しく不安そうな顔をしている。
そんな顔…見たことない…
今こそ自分の気持ちをぶちまける時だと思うんだけど、どうにも勇気が出ない…。
しばらく顔に見とれていると、兄ちゃんから、俺の頬に触ってきたよ!?
なに!?なんで!?
パニックになっていると、触れられた指は、大事なものを扱うようにさすられる。
「…ごめんな…
誤解のある言い方したから。悪かったな…」
あったかい…
てか……
そんな触り方されたら、胸がつまりそう…
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