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「…あれは、一旦アタシが預かって…七森の部屋に隠した…」
「出せ」
言われると、ベッドの下をまさぐり、キーホルダーを出してきた。
「そ…そんなところに…!」
「コレです。ごめんナサイ」
受け取ると、兄ちゃんは、章介さんに投げた。
「ちょっト!
大事に扱ってヨ!」
「げ、あの人の手作り…?」
「あいつの手作りGPSだ。」
「うわ……」
「…それはこっちの台詞だ、脳みそスカスカ女…
その様子じゃ遊び呆けてばかりなんだろうな。
大学の単位ギリギリどころか足りないんだろ。
とっとと大学辞めて、二度と俺の前に姿を見せるな!!」
罵倒の限りを尽くされたケバい未来は、涙でグシャグシャの顔のまま、無言で立ち上がり帰っていった。
「兄ちゃん、言いすぎ…」
「何を言ってやがる。これでも足りねえくらいだ。
容赦などしてやらんと宣言したろうが」
「二人とも、もう用事すんだヨ、帰るネ。
お邪魔しましター」
大人しい未来は、玄関までお見送りしてくれた。
いい人なんだけど、お付き合いする友達を間違えちゃったんだなあ。
「ごめんなさい…」
「構わん、もう終わったことだ。
邪魔したな。」
さっきまでの悪役オーラが嘘みたいに、さっぱり対応する兄ちゃん。
さっさと帰路につく兄ちゃんを追うよ。
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