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「 」
来斗の手に包まれる頬。
引き寄せられる腰。
瞬く視界。
さわやかな水のせせらぎ。
今まで、こんな距離で来斗の顔は見たことないな…
友人にキスされている俺の脳内は、あまりの衝撃に、かなり冷静に分析していた。
何秒もしないうちに、唇は解放された。
「ッ……ごめん……
こんなことして…
ごめんな……」
「…………………………」
言葉に詰まっていると、来斗の目からぼろぼろと涙がこぼれた。
正直言って、泣きたいのは俺のほうである。
どうしようもなく好きだって気持ちは伝わってきたけどね、この後の展開が地獄でしかないよ。
「…わかったけど…
俺、本気で兄ちゃん好きだから、来斗は友達としてしかみれないよ?」
「……うん…
それでもいいんだ…
…ごめん…」
「…うん。びっくり、したけど、もう、平気。」
嘘を吐きました。
心臓バックバクで、平気なんかじゃあありません。
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