科学雑誌『月刊ノーベル』

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デビッド・フランクリンが金や銀を発生させたことにより、世間には大量の金銀が出回り、値が暴落した。 更に、様々な人が様々な物質を発生させるようになり、金属やガラスなどの、工業製品原料の生産会社が相次いで倒産。 残ったのは材木商だけであった。 また、水素と酸素を出せる物が水を作る為、世界的に水不足は解消されたが、水を売る商人は職を失い、先進国の浄水施設の従業員も同様に職を失った。 他にも、数多の人によって様々な物質が作り出される為、製造業に勤める者や、エネルギー産業業界の者は皆職を失った。 生き残ったのは、 農林水産業者 食品加工会社 銀行 証券会社 IT企業 運送業者 電力会社 卸売り業者 小売業者 サービス業者 などの、食品関係や物質の生産とは少し離れた位置にある企業のみである。 食品も物質の合成で作ることはできるが、やはり皆、味の無い合成物よりも、命を頂く食べ物を望むようだ。 また、個人で言えば設計や開発、医療に携わる者などの物質を利用する者達が生き残った。 失業者はあとを絶たず、世界的にデフレーションが起きた。 その後は新しい事業形態として、 『有用な物質を出せる人』 を雇い、優秀な設計者の指示のもと製品を製造するという、少数制の事業者が増加した。 デビッド・フランクリンは常識を覆し、多くの業績を残したものの、今も続く『世界デフレーション』の原因となったのも彼であると言えるだろう。 /坂巻守
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