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夏の夕暮れ。昼間に通り過ぎた雨雲が濡らした山道を、青年がゆっくりと歩いて行く。
その1mほど先を、黒白の毛色の犬が嬉しそうに歩いている。
青年の手にはその犬の首輪に繋がったひも。
午後6時頃、青年は家の裏山の散策道を愛犬の散 歩の為に歩いていた。
黒く少し短い髪、身長は175cmから180c m位だろうか。
鍛えているのか、腕や足には薄いが力強さを感じ させる筋肉を纏わせている。
目鼻立ちは可笑しくない方だが、十人中三人ぐら いが「格好良いんじゃないかな?」と答えそうな 微妙な容姿。
イケメンとリア充なんて滅べば良い!…失礼。
ふと、先を歩いていた犬が道の端に逸れて行った。何かしらの匂いに気付いたのだろうか?
茂みの中へ鼻先を突っ込んでいる愛犬に声を掛け てみる。
「どうした~?何か珍獣でも居たのか?使用済み のエロ本でも落ちてたかー?」
林の中とか茂みの中とかって、結構纏まった量のエロ本が落ちてる事あるよね。
それは良いとして、答えが返ってくる事を期待してる訳でもなく、独り言の延長のようなものだ。
生い茂った草むらに鼻先を突っ込んでいた犬は、満足したのか「ふんすっ」と鼻を鳴らして歩き始めた。
それに合わせて青年も一緒に歩き出す。
「しかし、サンダルで来たのは間違いだったかな…」
昼間に降った雨のせいで舗装もされていない山道はだいぶぬかるんでいる。
この裏山は昔から遊び場にしたり散歩でよく歩いているから大丈夫だろうと軽く考えていた。
そんな感じで一人と一匹はゆっくりと進み、折り返し地点である川に到着した。
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