中二病

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中二病

小向アキト 16歳 いつも上下黒の痛いスーツで出歩いている少年。 ジワジワと暑さが身体を蝕む8月のある日。 俺はキツく苦しい闘い(学校)を終えて、安息の地である聖域(自宅)に辿り着いた。 ダメだ…今の俺様にはHPもなければ魔力も底を着いている。 「早く…早く魔力を補充しなければ! 俺は人の姿を保つことが…くっ!鎮まれ!俺の左腕ぇぇ!!!」 早く!早く!早く早く早く!!! 俺は魔力の貯蔵庫(冷蔵庫)へ向け、一心不乱に走り始める。 厳重に密閉する様に立ちふさがる扉をありったけの魔力で開け放つ。 もはやいつこの身体が人間の形を失ってしまうか…時間の問題だ!! 俺は魔力貯蔵庫の扉に渾身の力を込める。 「ふっ…ぬおぉぉぉぉぉ!!!!」 開いた!!! この先に俺の魔力の源である"魔のプリン"が…………ない!? 今にも吹き飛びそうな理性。ふと横に蠢く存在を確認した。 何を隠そう俺様の血を引いているにも関わらず、愚鈍な人間崩れの我が弟だ。 なん…だと!? どうした事だ!! 弟の前には見覚えのあるプラスチック製の容器……それに口の端に付着した黄色破片!もはや間違いない。 この魔王たる俺様の目は騙せないのだ!! おのれ、こやつ許さん!!! 『お前…俺様の魔のプリン食いやがっただろ!?』 弟は空になったカップを持ち上げてこんな事を言う。 「あぁ…これの事?」 『そうだよ!冷蔵庫でキンキンに冷やしておいた…』「たかたが126円の安物じゃん」ボソッ 『はっ?たかたが126円の安物? ふざっけんな!!あれには俺の魔力が蓄えてあったんだ!! 返せ…吐き出してでも返せぇぇ!!!』
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