森人

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Tシャツに短パン姿の数え7,8の男の子が、木に隠れるようにして男を窺っている。 丸々とした手で木にしがみつくようにして、泣きはらした顔を男に向けていた。 「坊や、こっちにおいで」 男が手をのばすと男の子は顔をふった。 「そうか、わかっているんだな。だが、たしかめないと」 呟いた男は指先で眉尻をなぜると、男の子の方に足をのばした。男の重みで木靴がギュっと鳴った。
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