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「え…?」
恭真の気配に気づいたのかその少年は両手にいっぱいの武具を抱えながら振り返った。
「あっ、あのこれは別に落としたとかそうゆうわけじゃないです!こ、ここに並べて点検してただけですから…っ!」
恭真が何も言ってないのに、急に焦った風にわけのわからないことを言い出した。
「何言ってんの…?」
「え…?…あれ…先生じゃない。青いネクタイ――なーんだー。脅かさないでよー。アハハハハ。ひやー、焦ったぁ」
今度は急に笑い出した…。
恭真のことを先生だと思ったらしい。
――でも、初めて人を発見した。これはチャンスだ。
「あの聞きた――」
「――はいっ!これ頼むよ!」
恭真が学園長室の場所を聞こうとしたら、いきなり手に抱えていた一部の武具を渡された。
「いやー助かったよ。一人じゃきつかったんだー」
「――いや、意味わかんないんだけど」
「…え?だって君は僕を手伝うよう先生に頼まれてきたんじゃないの…?」
「………違うけど」
「………えええええええっ!?――あっ!ご、ごめんねっ!」
驚愕の声をあげながら、俺に渡した武具を取ろうとしてくる。
「…いいよ、手伝う。見ちゃったんだ、見過ごすわけにもいかねーよ。――そのかわり後で俺の用事にもつきあってもらうぞ?」
「…う、うん!ありがとうっ!」
満面の笑みでお礼を言われる。
喜怒哀楽の激しいやつだ…。
「それで、これはどこに運ぶんだ?」
「あ、うん。実習棟に運ぶんだよ。あ、名前言ってなかったね――僕の名前は飯沼照明。テルって呼んでほしいな!」
照明…いやテルは自分の名前を言うとこちらを見て微笑んできた…。
こ、こいつほんとに男かよ…。――か、可愛いすぎる…。
「――はっ!お、俺はそっちの趣味はないからなっ?」
恭真はなぜか動揺の声をあげてしまう…。
「ん?……なんだかわからないけど、君の名前も教えてほしいな!」
頭を傾げながら言ってくる…。
「あ、ああ。…俺の名前は月島恭真だ」
「恭真だね。よろしく!」
「……っ。よ、よろしく…」
な、何なんだこの笑顔は…。破壊力ありすぎだろ…。
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