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恭真の気もしらず、テルはニコニコと前を向きながら歩きだす。
「そうだ、恭真の用事ってなんなの?」
「ん?ああ、学園長室に用があってな」
「学園長室…!?きょ、恭真は何かやらかしたのっ?」
テルがおどおどしながら聞いてくる。
「…違う!何もやらかしてないからな…っ?…俺は単にこれからどうすればいいのかを聞きたいだけだ」
「どうゆうこと…?」
「あー、俺は…。特待生ってやつなんだよ」
「―――えええええええっ!?ととと、特待生!?」
「あっ!バカっ落ちるぞ!」
驚愕の声をあげたテルが両手に抱えている武具を落としそうになるのを慌ててカバーする。
「あ、ありがとう…。…ってそれどころじゃないよ!特待生ってほんとなのっ?」
テルが両手を塞がれていながら詰め寄ってくる。
「ああ、そうだよ。…特待生がそんなに珍しいのか?」
「――珍しいもなにもこの学園で初等部、中等部を飛ばして高等部に入るなんて針に穴を通すのより難しいことなんだよ?毎年特待生は一人いるかいないかぐらいなんだ。だからこの学園の特待生ってのは間違いなく注目の的なんだよ…。…それに恭真はかっこいいし女子たちがほっとかないと思うな…」
なるほど、特待生ってのはそんなに凄いものだったのか…。あの人が受けろっていうから受けただけなんだが…。
「ちゅ、注目の的か…。…それは勘弁願いたい…」
「それは無理な話だよ。今日も入学式出るんでしょ…?特待生は前に出て話さないといけないから、嫌でも注目されちゃうね」
「え…?は…っ?そんなの聞いてないぞ…?」
今度は俺がテルに詰め寄る…。
「あはは…まあ、諦めも肝心だよ。あ、それより特待生ってことは四組になるんだよね?」
「そうなる…」
俺がうなだれているとテルが聞いてくる。
「じゃあ僕と同じクラスだね!」
「へーそうなのか。テルは頭いいのか?」
「それなりにね」
テルが苦笑しながら答える。
それなりで特進クラスに入れるのか…。
「あ、ここだよ実習棟」
と、喋っているうちに目的の場所に着いたみたいだ。テルが両開きの扉を開けて中に入る。
「へーやっぱりでかいなー」
「でしょー僕もここにきたのは高等部進級試験以来かなー」
「高等部進級試験?」
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