第1話 「始まり」

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「うん。高等部進級試験には二つの試験があるんだけど、まず初等部と中等部は勉学を主にやるんだよ。その総まとめで試験をするんだ。試験には実技もあって、それでここを使ったんだよ。あ、ここだよ」 「へーなるほど。テルは何位なんだ?特進クラスに入るほどだから上のほうだろうけど」 両手に抱えた武具をテルが置いた場所に置きながら聞く。 「あー、僕は実技は苦手だから勉学で上がったようなものなんだよ。勉学は3位で実技は6位ぐらいだったかなー」 テルが少し照れたように言う。 6位で実技が苦手ってこいつ…。しかも勉学は3位…。 「…テルって凄いのな」 「え?そ、そんなことないよー」   テルは両手を胸の前でぶんぶん振りながら否定する。 あ、そういえば凪と桃は何位だろう…。 「あのさ、桜川凪と安城桃の順位ってわかるか?」 「え?桜川さんと安城さん?知り合いなの?」 「ま、まあな」 「へーそんなんだー。桜川さんは――勉学実技ともに1位だよ。安城さんは勉学が4位で実技が3位だったはず…」 ま、まじかよ、あいつらそんなに凄いのか…。 「――な、なるほど」 「うーん。それじゃあこっちも終わったことだし、学園長室行こっか」 よほど重かったのか、手を伸ばしながら言ってくる。 「おう、頼む」 「まっかせなさい!」 テルが胸を張りながら言う。 「じゃあまずは教務棟に行かないとね」 「教務棟?」 「教務棟は教務室や学園長室とかがあるところだよ」 「なるほど。じゃあ頼む」 「オッケー!」 そして俺たちは実習棟を出て歩きだした――。    **** 「――で、どうだった?彼」 桃が凪の乗る車椅子を押しながら聞く。 「おかしいです…。」 「え?おかしいってなにが?」 「彼は黒だったんですけど…。でもその後ろに何か陰みたいなのがあって…こう他に何か隠してるみたいな…」
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