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彼の中には何か深い闇がある気がする…。…人は誰しも内に闇を抱えていたいるけど、彼のはそれとは別なような気がします…。私に似てる…。
「隠してるか…。そうねぇ、確かに何か秘密がありそうだけど…。――でも、恭真くんってイケメンじゃない?」
「――へっ?」
桃の突拍子な言葉に思わず変な声がでてしまう。
な、なんでいきなりイケメン?
た、確かにイケメンの分類に入る顔はしてたけど…。って私何考えてるの!?
「ふふふ。顔真っ赤にしちゃってどうしたの?ふふふ」
桃は微笑を浮かべながら聞いてくる。
え、私顔真っ赤なの…っ?ど、どうして…っ?
「――ま、あなたが“黒”を嫌ってるのは知ってるけど、恭真くんは凪が思ってるような人とはなんか違う気がするんだよね~」
――確かに彼は何かが違った…気がする。でも…
「そ、そんなの関係ないです…。
黒は、黒は――
『私の敵』だから…。」
凪は膝の上でこぶしを強く握りながら答える。そうだ。黒はみんな許せない…。
「――そっか。凪がそう言うんじゃしょうがないね。…でも彼なら今の凪を救ってくれるかも…」
「え、なんですか?」
最後の桃の声が小さくて聞こえなかった。
「あー、何でもない何でもない!さーて帰ったらまず朝食だね!あ、そういえば恭真くんってあの後どうするんだろ…?案内とかしてあげたほうがよかったかな?」
「――さあ?男なんですから一人でなんとかすると思います。」
「そ、そうだね。なんとかなるよね、きっと」
あんな人のことなんて知らない…。
****
「着いたよ!ここが学園長室!」
テルが指を指しながら言う。
「ここが学園長室か。やっと着いた」
俺とテルは一枚の扉の前に立っていた。
「――よし、入るか」
まず、扉をノックしてみる。が、反応がない…。
「いないのか…?」
「…あ、始業式に行ってるのかもしれないよ?」
「あー、始業式か。完全にタイミングを間違えたな」
俺はここ数時間の苦労を考えるとうなだれた。
「しょうがないな。出直し――」
「私に用かな?」
突然、後ろから話しかけられる。
振り向くと、そこにはスーツ姿の眼鏡をかけた美女が立っていた 。
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