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「あ、恭真。この人が学園長だよ…」
ボソッととテルが教えてくれる。
学園長は女の人なのか…てっきり男かと思ってた…。
「ネクタイの色からして、君達は一年だね?ここにいるってことは私に用があるのだろう?」
「――あ、はいそうです」
「何の用かな?立ち話もあれだから中に入ろうか」
そう言って学園長は恭真とテルの間を通って部屋の中に入る。恭真も学園長に続いて中に入る。
「あ、じゃあ僕はこれで…」
「え?あ、ああ」
「何を言ってるんだ。君も入らないか。ここに腰掛けてくれ」
学園長が部屋の中央にあるソファーを指差しながら言う。
「で、でも僕は彼を案内しただけなので…」
テルが恭真のほうを一瞬見て言う。
「いいじゃないか。何か用事があるわけでもないだろう?」
「それはそうですけど…」
学園長の問いかけに口ごもるテル。
「ならいいじゃないか。彼もそのほうがいいだろう」
学園長が口元に笑みを浮かべながら恭真のほうを見る。
「――そうだぞテル。いてくれ」
「…うん。わかったよ」
恭真が声をかけるとテルは微笑みながら答えた。そうして、恭真とテルはソファーに腰掛けた――。
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