第1話 「始まり」

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  **** 学園長が恭真達の向かいのソファーに座りながら紅茶を口に含む。 「――さあ、話というのはなんだい?」 「あ、はい。えっと、俺特待生らしいんですけど、この学園のこと何も知らないんですよね。これからどうしたらとかも…」 「おー、君が例の。ほうほう」 学園長が恭真をなめ回すかのように見てくる。 「それで、私に聞きにきたというわけか。ん…?でも彼女に聞いたほうが早いのではないか?」 学園長の彼女というのに俺は一瞬考えた後、誰か理解した。 「――そうなんですけどね。あの人何も言わないんですよ。そのせいで大変な目に合うし…」 「ハハハ。そうかそれは災難だったねー」 学園長が笑いながら言ってくる 思ってたより柔らかい人だな。 「笑い事じゃないですよ」 「アハハ、悪い悪い。あ、そういえば彼女ならそろそろここにくるはずだぞ?」 「え…?」 そう学園長言った直後、ドアからノックの音が聞こえてきた。 「来たね。入りなさい」 「失礼します――」 そうして一人の女性が扉を開けて入ってきた。その女性は恭真のよく知っている人物だった。 「――静姉!」 彼女は驚いた風もなくこちらも見た。 「あら、恭真じゃないの。こんなところでなにしてるの?」 「はあ!?なにって、静姉が間違った時間教えるからだろっ!」 「間違った時間?」 静姉はキョトンとした顔で首を傾げる。 「式の時間だよ!入学式は十二時半からじゃないか!おかげでどんだけ苦労したか…」 恭真はあの苦労を思い出しながら言う。 「まあまあ、君も落ち着かないか。彼も驚いているよ?」 学園長が俺の横を見て言う。そこには、ソファーで唖然としているテルがいた。 「…あっ、テルごめん」 「あ、僕は全然っ…」 テルが胸の前で両手を振りながら言う。 「――よし、では君のこれからについてだったね?」 恭真がソファーに座り直すと、その横に静姉が座ってきた。 「は、はい」 「まず、この学園は全寮制なんだ。君はまだ寮に入っていないよね?まずは…」 「荷物は先ほど寮に運び終わりましたよ」 「――はっ!?」 静姉が言ったことに驚愕する 。
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