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学園長が恭真達の向かいのソファーに座りながら紅茶を口に含む。
「――さあ、話というのはなんだい?」
「あ、はい。えっと、俺特待生らしいんですけど、この学園のこと何も知らないんですよね。これからどうしたらとかも…」
「おー、君が例の。ほうほう」
学園長が恭真をなめ回すかのように見てくる。
「それで、私に聞きにきたというわけか。ん…?でも彼女に聞いたほうが早いのではないか?」
学園長の彼女というのに俺は一瞬考えた後、誰か理解した。
「――そうなんですけどね。あの人何も言わないんですよ。そのせいで大変な目に合うし…」
「ハハハ。そうかそれは災難だったねー」
学園長が笑いながら言ってくる
思ってたより柔らかい人だな。
「笑い事じゃないですよ」
「アハハ、悪い悪い。あ、そういえば彼女ならそろそろここにくるはずだぞ?」
「え…?」
そう学園長言った直後、ドアからノックの音が聞こえてきた。
「来たね。入りなさい」
「失礼します――」
そうして一人の女性が扉を開けて入ってきた。その女性は恭真のよく知っている人物だった。
「――静姉!」
彼女は驚いた風もなくこちらも見た。
「あら、恭真じゃないの。こんなところでなにしてるの?」
「はあ!?なにって、静姉が間違った時間教えるからだろっ!」
「間違った時間?」
静姉はキョトンとした顔で首を傾げる。
「式の時間だよ!入学式は十二時半からじゃないか!おかげでどんだけ苦労したか…」
恭真はあの苦労を思い出しながら言う。
「まあまあ、君も落ち着かないか。彼も驚いているよ?」
学園長が俺の横を見て言う。そこには、ソファーで唖然としているテルがいた。
「…あっ、テルごめん」
「あ、僕は全然っ…」
テルが胸の前で両手を振りながら言う。
「――よし、では君のこれからについてだったね?」
恭真がソファーに座り直すと、その横に静姉が座ってきた。
「は、はい」
「まず、この学園は全寮制なんだ。君はまだ寮に入っていないよね?まずは…」
「荷物は先ほど寮に運び終わりましたよ」
「――はっ!?」
静姉が言ったことに驚愕する 。
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