第1話 「始まり」

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「おお、それは良かった。じゃあ今日からでも寮に入ってくれ」 「――わ、わかりました」 恭真は静姉を睨みつけながら答える。 「部屋は…そうだねー。君は確か飯沼照明くんだったね?君は二人部屋を一人で使っているはずだろう?すまないが、彼を入れてやってくれないかい?」 「もちろんです!」 学園長の問いにテルはとびっきりの笑顔で即答する。 「じゃあそうゆうことで寮には飯沼くんが案内してやってくれ」 「はい!」 「次に始業式のことなんだが…。毎年特待生に前に出て話をしてもらっているんだよ。今年は、君が特待生だからお願いしたいんだが、いいかな?」 うっ、凪の言ってたことはほんとだったのか…前にでて話すなんて目立つこと出来るわけ――。 「えーと、俺は――。……っ!?」 恭真が断ろうとしたとき、急に左足に痛みが走った。 左足を見ると静姉の足が乗っかっていた 。これはやれということなんだろう…。 はあー、なんで俺がそんなことをしなくちゃいけないんだ…。 「――や、やります」 「おー、それはありがとう。感謝するよ。そしたら、これで話は終わりかな?じゃあ恭真くん、君の境遇は彼女から聞いているよ。でも、君はこの学園に入ってくれた。それはとても嬉しく思うよ。これからの学園生活、しっかり楽しんでくれ」 学園長が微笑みながら手を差し出してくる。恭真は一瞬の逡巡の後、その手を握り返した。 「――はい。せっかく入ったんですし、楽しみますよ」 そして、俺とテルはソファーを立ち外に出た。 「「失礼しました」」 ――学園長室を出て、少しため息をつく。 「ふぅ…。なんか不思議な人だったな?」 「そうだね。僕も直接話したのは初めてだよー」 何かとてつもないオーラを感じた…。 やっぱり学園長だからすごい力があるんだろうな…。 「そしたら恭真!寮に案内するよ!」 「おう、頼むよ」 学園長の言うとおり、しっかり楽しませてもらいますよ。面白いやつも見つけたし―― 。
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