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「…桃じゃねーか。びっくりさせんなよぉ」
後ろを振り向くと腰に手を当てて立っている桃とその後ろに車椅子に乗る凪がいた。
「アハハ、ごめんごめん。それより、大人気だったねー恭真くん。ふふ」
「お前なぁ。…はぁ」
恭真はため息をつきながらふと、凪のほうをむく。すると彼女は慌てて目を反らした。
あれ?てっきり睨まれると思ってたのに…。
「ふふふ、かっこいいのは事実よね。ねえ、凪?」
「え…っ?――こ、こんな人のどこがかっこいいんですかっ。」
桃に急に振られて凪があきらかに動揺した感じで答える。
「…そうか俺はかっこよくないのか…。そっかそっか…」
「え…っ。――す、少しはかっこいいと思いますが…。」
恭真がわざと落ち込んでみると、凪は小さい声でボソッと呟いた。それを聞いた恭真は笑いを堪えるのに必死だった。すると、隣のテルが服の裾をつまんでひっぱってくる。
「きょ、恭真…。ほんとにこの二人と知り合いだったんだね」
「お、おう。まあな」
イイヌマテルアキ
「君は飯沼照明くんだったよね?高等部でもよろしくね!凪も」
「う、うん!安城さん、桜川さん」
「よろしくお願いします。」
やっぱ三人とも中等部で顔見知りなのか。
「――それより、なんか騒がしくないか?」
周りのやつらがこちらをちらちら見ながらボソボソと話している。
「ほとんど恭真のことだよー」
「いや、それはないだろ…」
と思いながらも俺は耳を傾けてみる――。
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