第2話 「北城学園高等部一年四組」

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「この『四組』は他のクラスとは違い、特別な人選がされているわ。もちろん、高等部進級試験上位者が多いのだけど、その他にもいろいろな者がいるの。――例えば、“特待生”とかね。それと、ここでは言えないんだけど、このクラスには“セキア”持ちが数人いるわね。“セキア”っていうのは…まあ、みんな言わなくてもわかるでしょう…」  ・・・・    ソリタリーブラスト 「如月先生は確か『火炎隠者』でしよね?」 恭真は朝のことの仕返しとばかりにそう言う。恭真がそう言った途端クラス中が騒がしくなる。        ソリタリーブラスト 「きょ、恭真…。『火炎隠者』ってあのランク…SAランクの?」 テルが信じられないという顔で聞いてくる 「…そうよ。あたしはランクSAランクの『火炎隠者』。――そして、特待生で   ・・・・ ある月島恭真の保護者でもあるわ。」 「なっ。――保護者とか言うなよっ」 「なんならあなたのセキアも言っとく?ふふ」 「くっ…」 静香がお返しよとばかりに見てくる。 「まあ、それは置いておいて。さっきも言ったとおりこのクラスは特別だわ。 このクラスから将来SA(Spirit Abilities)機関     ミディエイター に入り“調停者”として活躍してくれる子は少なくはないでしょう。あたしは新米教師だけど、これでも数ヶ月前まで最前線で戦っていた身だわ。そのあたしから言えることは二つ……。一つ目は、決して、『憎しみ』で戦ってはだめということよ。憎しみは“気獣”にとって一番の『餌』になってしまうからよ…。だから――もし、自分が憎しみに狂わされそうになったとき…負けないでほしい…そこで憎しみに気を許してしまったら…大切なものまで失うことになるから……。…二つ目は、みんなこの学園生活でたくさん大切なものができると思うの…それはかけがえのないもの…だからそれをちゃんと手放さず…大事に生きてほしい。それは必ずあなたのこれからの人生に必要なもの…失ってからでは遅いから…。―――はい!少し語っちゃったわねー。今日の授業はこれで終わり!明日はいろいろやってもらうから今日は解散!じゃあまた明日ねー」 ――と、言いながら静香は教室を出ていった。出ていくとき彼女の濃褐色の瞳が少し潤んでいるような気がした。 …静香は今の話を自分にも言い聞かせているように聞こえた――。
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