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「はい、呪われていますね」
彼女は酷く冷淡に、そう言い放った。
彼女の物言いに、思わず依頼主である中年の男は唾を飲み込む。
彼女らは小さな事務所のソファーに相対するように座っていた。
彼女達の囲む真ん中のテーブルには、お茶と茶菓子、そして異様な存在感を放つ『壺』があった。
それは、見ている分には立派な『壺』に思える。
口の方からは青みがかった濃い緑色で始まり、中間にて藍白色へと変化している。
その配色からは飾らない朴訥とした美しさを感じられた。
「そう、ですか……」
男は相槌を取って、なんとか平静を保ちたいといった具合だ。
「これは人を喰い殺しますね。もしかしたら、もう殺しているのかも……」
まるで男を糾弾するかのように、彼女は淡々と述べる。
彼女の鋭い視線は、男へと向けられていた。
男には思い当たる節でもあるのか、視線が落ち着かない。
「そんな……。先生、何とかならないのでしょうか!?」
男は焦って、遂には立ち上がってしまった。
その顔には一切の余裕が見られず、声は切実に助けを求めているようだった。
女は動揺する男の瞳を真っ直ぐに見詰める。
「――なりますよ」
彼女は自身の依頼主である中年の男にそう言った。
あまりにあっさりと言うものだから、男は面食らって立ち尽くしているようだった。
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