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――その時だった。
ふと、恭介は視界にチラつくものがあることに気が付いた。
それはまるで子供のようだったが、肌はドス黒く、また別のモノは炎のように赤く、また別のモノは深い緑色の肌をしていた。
眼は金色で、ギラギラと恭介達を舌なめずりする様に見詰めている。
頬骨も腕の骨も足の骨も、あばら骨も浮かび上がる程にやせ細り、皮だけが残っている。
しかし、腹だけは丸く膨れあがっている。
春代が依頼の時に話していたような餓鬼だった。
――羅城門の餓鬼。
それらが火の中を駆け巡り、燃え上がる柱を伝って、ケタケタと嘲笑うかのように恭介達を見ている。
それらは火の中から這い出しては、恭介の足にしがみつき、けたたましく笑った。
「――……お前たちに食べられるものか!!」
恭介は大声を上げて、自分にすがり付いてくる鬼を必死に振り払いながら、先を急ごうと足を踏み出す。
しかし、恭介の意に反して、体はどんどん重く、彼自身の言うことを聞かなくなっていった。
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