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「どうやら、才蔵さんには心当たりがあるようだ」
幹子は我が意を得たりと呟いた。
「少々、お時間を頂いても宜しいでしょうか?」
「……構わない」
本川才蔵は手振りで、自身のベットの近くにある来賓用の椅子にかけるように幹子らに促した。
どうやら、話を聞くつもりはあるらしい。
幹子の言い方が有無を言わせないものだったからだろう、と恭介は思った。
「あの家が火事にあって、あの子が病院に搬送されたという知らせを聞いた。父の死から“何か”ある、とは思っていた」
顔を俯けて、気負った様子で才蔵は独白するように呟いた。
不思議と、それは春代が奇端倶楽部の事務所を訪れた時と似たものを感じさせる。
話をしている間、才蔵の相貌はやつれて見えた。
「才蔵さん……、入院なさっていることを何故、隠されていたんですか?」
恭介は気になっていた事を、おもむろに口にする。
その言葉が、才蔵の逆鱗に触れたのか、眉間にしわを寄せて、恭介を睨む。
その様子に、思わず恭介はたじろいだ。
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