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「奇端倶楽部、と言ったかね?」
やがて話が終わると、暫らくしてから、本川才蔵は重々しく口を開いた。
「私にもね……、君達が虚実を並べ立てていないことぐらい分かるさ。信じるよ」
「では、本川家を蝕む“呪い”のことも……?」
幹子の口から急に発せられたその言葉に、恭介は眉をひそめて驚く。だが、才蔵は幹子の意図を理解したかのように頷いた。
「呪い……」
才蔵は、言葉の感触を確かめるかのように呟く。
「――……それはもしかして、悪鬼の蔓延る門の呪い、か?」
その発言に、恭介は違和感を抱いた。
「――悪鬼の蔓延る。 それは、どういうことですか?」
悪鬼の蔓延る門とは、正しく、春代の言っていた羅城門の絵巻のことではないか。
山麓の火事に巻き込まれ、燃え上がった筈の絵巻である。
先程の話の中でも、意図的に才蔵氏には“ある絵巻”と伏せて言及したのみの筈だった。
その絵巻の話が何故、ここでいきなり才蔵の口から出てくるのか。
思わず、恭介は幹子の方を見る。
「“呪い”だよ」
不意に、幹子が恭介の質問に答える様に言った。
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