僕らの未来の為に……第1部(1)

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今日の引っ越しに赤星の社員たちが5人も駆けつけてくれた。 長野から運ばれてきた段ボール箱を運び入れて、赤星の荷物も少し運び入れた。 渋谷にある自宅兼会社から私物の荷物を移してきたのだ。 僕は南向きの部屋をひとつ借りた。 他の部屋はひと月前から準備が出来上がっている。 「後は、掃除してくれれば大丈夫だね。」 「了解しました。」 僕より少し年上な男性がふたり掃除を始めた。 僕は自分の段ボール箱の中身を本棚にしまい、次々にその箱を空にしていく。 「また、社長。新しい彼氏を作っちゃたんだね。」 拭き掃除をしながら女性社員がコソコソ話し始めた。 新しい彼氏……? この状況から察するに、僕の事かな? この内容は、古い彼氏もいるんだよね。 「今度はお医者さんらしいじゃん。」 「綺麗な顔した男だよね。」 「社長の趣味も分からんね。色々なタイプがいて。」 僕に聞こえてないと思っているのか、内容が過激になってくる。 「アメリカから帰国する度に違うんだよね。相手が……。」 「ゲイのする事は分からん。」 「社長って外見はカッコいいから、ずるいんだよね。ん?でも、前、女の人だったよね。」 「そうだ。娘がいた筈だから、バイか?人生2度美味しいって奴だね。」 「デビッド社長も、元彼だって噂だし。暴露本出したら凄い事になってたりして。」 僕は彼女たちの話に少々苛立ってくる。 また、新しい段ボール箱のガムテープを開けた。 僕はその中身を見て驚いた。 「やばっ、間違えた。」 僕は赤星の箱を開けてしまった。 しかも、段ボール箱の上にマジックで「開けるな!」と書かれていた。 慌てて箱を閉じる。 その時、一枚の写真が目に付いた。 赤星より年上の凄い身体の大きな外国人。 この男が今話していたデビッドさん? その脇に金髪の可愛い男の子が一緒に写っていた。 日付が新しい……。 あまり気にしない様に箱をガムテープで封印した。 僕は深く深呼吸をした。 廊下にいる彼女たちのお喋りはまだ続いていた。
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