中二病より深刻な………

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―――ただの野球好きだった俺が、 中二病、と呼ばれるようになったのは、高校二年の夏ごろだろうか。 言動が特にイタいわけでもない。痛いのはスライディングしたときの膝だけ。 腕に包帯巻いたり眼帯してみたりするわけでもない。巻くのはエルボーガードだけ。 訳のわからない呪文を叫んだりするわけでもない。叫ぶのはアウトかセーフだけ。 専用のノートに架空設定を書きたくってニヤついている訳でも更々ない。ニヤつくのはファインプレーをしたときだけ。 でっかい剣もって振り回すわけでもない。振り回すのはバットだけ。 自分をどう分析しても、ただの野球好きなのに。 でも、俺は、 友達に、クラスメイトに、両親に、祖父母に、恩師に、近所のオッサンオバハンに、 中二病と呼ばれる。 普通に公立高校に入り、 普通にクラスに馴染み、 普通に友達を作り、 それなりに女とも話ができ、 普通に野球部で汗を流してきた俺が 何故、中二病と呼ばれるようになったのか。 さあ、それにはちょっとばかり深い訳が―――
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