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鍵を掛けた瞬間、身体から力が抜けるのを感じた。
ドアに体重を預けて座り込み、呼吸を整える。
ひどいものだった。カッターシャツのボタンははじけ飛び、露出している腕や顔にはいくつもの生傷がある。
視界の縁で、骨格標本がこちらを向いて立っていた。ここが理科準備室だという事に、春樹は遅まきながら気が付いた。
「なんなんだよ畜生」
知らず知らずの内に、言葉が漏れる。
扉越しに、集団が走っている気配がする。
探しているのだ、春樹を、殺すために。
何がどういう理由でこうなっているのか、春樹にはさっぱりだった。いきなり友達に首を絞められたのを皮切りに、学校にいる全ての人間から命を狙われ出した。
意味が分からない、頭がどうにかなりそうだ。
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