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何度も何度も携帯の液晶を表示させ、時間と着信履歴を確認した。
目の前にある携帯の着信に気づかぬはずはないのだけれど、物思いにふけている間に見過ごしてはいないかと心配になるのだ。
そのせいか、朝満タンだったはずの充電が大分減っていた。
受付で充電器を借り、熱いコーヒーを入れて部屋に戻った。
充電をしながらストレッチをして体をほぐす。
テレビなどで、ネットカフェを住処にする者がいるのだというけれど、こんなスペースで疲れなど取れるのだろうか。
この天井の繋がった環境では、他人のイビキや歯ぎしりが丸聞こえだろう。
耳栓が必要だろうなと思った。
化粧室で顔を洗い、歯も磨き、再び映画を眺めた。
*
意外に早くその時はやってきた。
4時を過ぎたのを確認した直後だった。
何の前触れもなく、液晶に明かりが灯り、遠藤さんからの着信が表示された。
「芽衣か。そろそろ来てもらおう。刑事がウロウロしてたら、やり過ごしてから入って来い。2階に居る」
「わかりました。20分くらいで行きます」
直ぐに精算を済ませて外に出ると雨は降り続いており、まだ4時なのに早くも薄暗い。
家路に向かう学生たちの流れに逆らいながら、タクシー乗り場まで急いだ。
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