Entrance

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…あまりに惨(むご)すぎる光景が、私の視界に飛び込んできた。 夢にしては、私の感覚は異常なまでに鋭い。 音、色、匂い、温度…全てがあまりにリアルだ。 しかし、私の目の前で今起こっている事態は、あまりに現実味がない…。 「ひゅう、ひゅう…」 それは喉仏(のどぼとけ)を切られた人間の喉から漏れ出る空気の音。 "彼女"は懸命に、脚を使って、私の方へ近づいてくる。 私も彼女も、両手両足を鎖のようなもので拘束されていた…。 (来ないで…こっちへ来ないで!!) 私は声にならない声で訴える。 (私まで見つかってしまうじゃないの…どうして、こっちへ来るの!?) 彼女の前には恐るべき獣がいた。 血飛沫(ちしぶき)のせいで顔はよく見えないが、大きな斧を軽々と振り回す大男…。 そいつが逃げられない彼女を弄(もてあそ)ぶように、ゆっくりと近づいて来て…、 斧を高々と振り上げたのだ!
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