蒼の歩み

２０

すごいなぁ、蒼君は。

毎回同じ感想しか抱かない自分もどうかと思うけど、どうして彼はこういう考え方ができ、それをすぐに話し伝えることができるのだろうか。

「……蒼くん、好き」

突拍子も無い本音が口から出てしまう。

「おめー、突然なんだよ」

笑いながら聞いてくるけれど、それは私も聞きたい。突然どうした私。１年近く付き合ってきたけど、彼の前では時々調子が狂ってしまう。

「いや、あの。蒼君のこともっと知りたいなって改めて思ったものだから……」

「ま、そう思ってもらえんのはありがてェけどな。つーか、おめーにゃ散々俺の話ししてんだけどな。そんだけ話ししてんのおめーくらいだぜ」

「そうだね、今まで蒼君の話し、たくさん聞かせてもらったね」

そんだけ話してるの私ぐらい、だなんて言われたら。なんだか嬉しくなっちゃった……。

「なんだか、コレで最後みてーな言い方だな。でもよ、おめー、真歩の前での俺しか知らねーだろ。他の人の前の俺や１人の時の俺だと引くかもしんねーぜ。……つっても俺は俺だけどな」

引く、って。冗談だろうけれど、そんなこと言っちゃうなんて。そんなに極端に、違うのかな。私と、他の人との接し方。そう言われてみると、確かに知らないなぁ……。知る機会もなかったし。