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「はい、真歩」 「ん、何これ?」 彼は不意に、片手でどこからか何かを取り出し、私の目の前に差し出してきた。 「……いつもありがとさんな」 ピンクのバラと白いコスモスが、茶色の小さな籠に入っている。造花かな?小さなハート型の飾りつき。 「まだわからねぇ?お返し」 「えっ」 こんな可愛らしいものを、この彼が私の為に選んで購入してくれたのかと思うと……。 「あのね……。蒼君にこういうことされるとすごい嬉しい……」 「こういうことされる、って。そこだけ聞くとすげー誤解されそうだな」 どうしてそこだけ聞こうとしたの。一体どんな誤解を生むというの。というか、壁ドンも中々の異常な行動だと思うんだけど。 「お返しは、嬉しいんだけど。……どうしてこの体勢なの?」 「からかってみた」 ……もー!
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