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今年もまた、春が訪れた。別れと出会いの、季節。 毎年、4月を迎えるたびに思い出すのだろうな。道端で途方にくれていた私に、手を差し伸べてくれた優しい彼の姿。そして、蒼君曰く私と蒼君が初めて喫茶店で接触したのも、4月だったみたいで。 記念日ならぬ、記念月というやつだろうか。入学・就職時期のこの月が、私にとっては特別な月となった。 でも、この時期は何かと仕事が忙しくて。もちろん彼もそう。中々会えない日々が続くけれど、たまにする長文のやり取りで、それだけで、私は満足していた。彼の言葉や声は、本当に心に沁みる。 私が、1年前は本当にありがとう。と、色んな思いを込めて伝えると。 もう1年になるのか、早いものだな。いつも飽きずに付き合ってくれてありがとな。 と返事がきた。 そういうのは私の台詞なのにな、といつも思う。でも、嬉しい。蒼君の言葉は、何でも嬉しい。
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