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「真歩、何か欲しいものあるか?」 隣を歩いていた彼が、私の顔を覗きながら問う。なんだかその言い方や表情に、軽い違和感を覚えた。でも、この時はさほど気にしないでおいた。 「どうしたの、急に?」 私の誕生日、まだまだ先だよ?と続きを言おうとして、辞めた。きっと蒼君は私の産まれた日を知らない。聞いてくることがあるまで教えないつもりでいるし、示唆するような言葉もあまり言いたくなかったからだ。 そういえば、今年の蒼君への誕生日プレゼントは何にしようかな、と。己の欲しいものを聞かれているのに、そんなことを考えてみる。 「……4月、ってさ。俺達にとって記念月みたいなもんだろ」 だから、何か形に残るモンでもプレゼント出来たらいーなと思ってよ、と彼は言う。 「あら、記念日とかそういうのを気にするのは女ばかりと思っていたのに。そういうわけでもないんだね」 「これからまた、会う日も少なくなっちまいそうだから。で、何かないのか?」 「いらないよ、別に。蒼君とこうして話している時間があれば、それで」 「じゃあ、次に会う時までの宿題な。プレゼント何が欲しいか」 「えー?」 そういうのは、サプライズでくれたほうが嬉しいのに。そういうことは思いつかないのかな。でも、ホントに何もいらないんだよ。この2人の時間と、私の耳元で揺れるピンク色の輝きがあれば、それで……。
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