21

7/20
前へ
/354ページ
次へ
社会見学としては、いいだろうか。でも明らかに怪しい場所にわざわざ自ら出向くこともないだろう……。とにかく半信半疑だ。友人と一緒に見学することは可能ですか、と一応聞いてみれば。どうぞ、とのことだった。 だからと言って、そんな所に一緒に行けるような友人は居ないし。もしもこの仕事をしたらしたで、家族や友人に言えない。 ――それとなく、ちらっと、このことを蒼君に通話の際に伝えてみた。 「おめー、それ。ホントに行く気か」 「ひぃっ!ごめんなさい、興味本位なんです出来心なんです。高収入に釣られました」 わざと怯えた風にこんな言葉を放ってみると彼は、わかってんじゃねーか と言いながら笑っていた。何が、なのかはよくわからないけれど。 人に言えない仕事、出来事だけど。誰かに、蒼君だけにはどうしても何でも話してしまう……。
/354ページ

最初のコメントを投稿しよう!

24人が本棚に入れています
本棚に追加