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なんだかんだで、体育館に無事についた。
体育館もかなり大きい。
さすがは全校生徒が入れるスペースがあると言うことか。
周りの人たちも、着いたことに安心しぞろぞろと中へ入って行く。
だが、まだ時間はあるようだ。
「どうする、入るか?」
優美亜に視線を送る。
「ん?…いや、まだいいかな」
優美亜は体育館の入口の人だかりを見て、苦笑いをしている。
さすがに俺もあの状態で入りたくないな。
あ、ほら今誰か前のやつ蹴ったもん。
しかもどんどん押されてぎゅうぎゅうになってる。
「…ん?」
俺はその人だかりの中であるものを発見した。
それは、女の子が人に挟まれて苦しそうにしていること。
「…ちっ、優美亜!!ここで待っててくれ」
「え?あ、ちょっ…!!」
優美亜は何が起こったのか理解できずに、問いただそうとしたが、それを無視して女の子を助けに走る。
「…くっ…うぅ…」
どうやら、密集していて息ができていない。
早く助けないと危ない。
それに目も暮れず、押し続ける人。
俺はそれにイラっときた。
「おい!!落ち着けよ!!」
そう言って、どんどん人を剥いでいく。
だが、それでも早く入りたいが為に前を押す人たち。
「やめろよ!!苦しがってんじゃねぇかよ!!」
俺はやっとの思いで、その女の子の元へ辿り着いた。
「大丈夫か?」
女の子はやっと息ができたのか、深く深呼吸をした。
「…ハァハァ…。…はぃ。大丈夫です」
そして、その時初めて目があった。
黒髪のショートカット、全てを吸い込みそうな綺麗な黒目、そして少し幼さを感じさせる整った顔立ち。
いわゆる美少女だ。
「あ、あの…。ありがとう…ございました」
すると、俺にお礼を言って来た。
「ん?あぁ、大丈夫だったか?」
俺は少し不安だったので聞いてみた。
「はい!!大丈夫です」
くっ、笑顔が眩しい…。
そういうのはいいが、とりあえず可愛い。
それに和む!!
これが、萌えというやつなのか?
やばいな…目覚めるかも。
……あぁぁあ!!危ねぇ!!
危険な道を通ることになるところだったぜ…。
この子、危険だな。
「ん、ならよかった。あ、もうそろそろ始まるから、入ろうか。おーい!!優美亜!!入るぞ~!!」
優美亜がまだ、待っている状態だったので呼んで入ることにした。
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