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そう、俺は髪の色が普通の人とは違う。
生まれた時からの、正真正銘の地毛だ。
日本人となると、基本綺麗な黒い髪が生えるがたまに、色素が薄く軽い茶髪になる人もいるだろう。
だが俺は、その茶髪と比にならない程髪が茶色いのである。
一言で例えるならば、''染めた色''ってことになる。
小さい時に、それが原因でいじめられていた。
あれは、確かに俺も引っ込み思案なところが悪かったと思う。
でも優美亜だけは違かったんだよな…。
あいつだけは、この髪を羨ましい、綺麗だと褒めてくれた。
どうしても人は、自分と違う人を見ると少なからず恐怖心を抱く。
それが俺に対してあっただけで、ただそいつらが悪いとは思わない。
でも、優美亜みたいに接してくれたなら今の俺は変わってたんだなと思う。
まぁ、その話は置いとこう。
「はぁ、鬱だな」
優美亜はそれを聞いて苦笑いをした。
「まさか初日の朝から生徒会に目を付けられるなんてね」
それは正直、俺も驚いていた。
周りを見ても、そういうやつは見当たらないところを見ると、注意されても不思議ではないと感じる。
「ところで……体育館はどこだ?」
今は、校門を真っ直ぐ進んだところにある噴水の広場で休んでいる。
さっきの人に聞いとけばよかったな。
「どこかに案内板があるんじゃないのか?」
だが、辺りを見ても何もない。
むしろ、人だらけ。
案内板が見えるはずもなく、ただただひとの流れに沿って歩いて行くだけだ。
「まぁ、この人たちについて行けば体育館に着くんじゃない?」
優美亜はそう言って、俺の手を握った。
「迷子にならないようにね♪」
俺の方をむき、笑顔でそう言われたからなのか、顔が赤くなるのが自分でもわかった。
「……それはお前もな」
直視できなかったから、そっぽを向いて答えた。
「…ふふ、かわいい~♪」
「うるせ。黙って前みろよ」
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