20人が本棚に入れています
本棚に追加
もし、この世界に「言霊」というものが本当に存在したら。
私はきっと、それを使って大切な人を傷つけた人々を苦しめるだろう。
私を苦しめた人々と一緒に。
それをして泣いてる人がいるとしたら、もらい泣きしてしまうでしょう。
皆は優しいから、どんなに憎い人でも苦しんでいたらきっと泣いてしまう。
こと-だま【言霊】言葉に宿っている不思議な霊威。古代、その力が働いて言葉通りの事象がもたらされると信じられた。万一三「ーのたすくる国ぞ」ー-の-さきはう-くに【言霊の幸ふ国】言霊の霊妙な働きによって幸福をもたらす国。わが国のことを指す。万五「ーと語りつぎ言ひつがひけり」
~新村出編広辞苑第四版(岩波書店P.950より。
言霊、そんなものが本当にあったら怖いね。
きっと、法律ができてしまう。
軽々しく言葉を発しちゃいけないという法律ができてしまう。
でも、それなら幸せかも。
だって、そしたら人を傷つける言葉なんてものは存在しなくなるのだから。
皆、仲良しでいられる。
ちょっと待ってよ、私の脳が話しかけてきた。
ああ、きっとそんな法律があっても、ダメなんだ。
人には必ず生理的に無理って人とか、とにかく相性がある。
AさんとBさんが友達でも、AさんとCさんは相性悪くて、そんなCさんとBさんは友達だったりで、DさんとCさんが友達でもDさんとBさんは相性悪くて……。
そんな連鎖が私達の遺伝子を作ってくれたのだろう。
誰もが仲の良い世界なんて、あってはいけないんだ。
じゃないと、多分人は人を大切にし過ぎて絶滅してしまうから。
最初から、知ってた。
最初のコメントを投稿しよう!