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「……ま、とにかく余裕のあるうちに準備は完璧にしておきなさい?」
そう言い残し、姉貴は部屋を出ていった。
自然と、頭と首が前に傾く。
あぁ……行きたくねぇ。
「あ、あの。荘司……さん。」
「……んー?」
「荘司さんのお祖父さんの家はどんな場所なのでしょうか?」
その質問は……うーん……なんと答えるべきなんだろうな。
易しく話すのは難しい……
「……とりあえず、めんどくさい場所ではあるかな。」
「めんどくさい……?」
「ここより暑いし、かと言って涼しい場所はないし、親戚が集まるとそれこそ面倒だし、従兄弟は五月蝿いし……」
そんな風に嫌な点をいくつかあげてみる。だが、この中のどれよりも嫌なことがある。
それはなにより……
「……なにより、じいさんが苦手だ。」
決して、厳しいわけでもない。むしろあの人は優しい。
だが、性格がクールというか……無口なんだ、あの人は。
「じいさんと話す事が今でも苦手なんだよ……たまに何を言ってるのかわからなくなるし、なんて返事すればいいかわからないし……」
白鳥さんはへぇ、と相づちをうつ……この人、本当にわかっているのか?
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