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手首に傷を負った仲間に肩を貸し、立ち上がると、可能な限りの早さでその場を立ち去って行った。
その姿を見送り、ふと足下の死体に目をやった時、ミシェルの表情が初めて、わずかに崩れた。
「ファロスの慈悲を」
もとシスターらしく、短く祈りを捧げる。
そして顔を上げた時には、“華の剣”は復活していた。
急がなくては――
山賊の存在が、ミシェルの焦りをさらに深めていた。
レイフォルスがやつらに絡まれている可能性もある。
“ピアッサー”であれば必要ないかも知れないが、その時は助太刀せねばならない。
そして伝えるのだ、二人分の感謝の気持ちを――。
闇はもうそこまで来ている。
ブロンドの若き女剣士は、山へと続く道を全速力で駆け出した。
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