第1話

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手首に傷を負った仲間に肩を貸し、立ち上がると、可能な限りの早さでその場を立ち去って行った。 その姿を見送り、ふと足下の死体に目をやった時、ミシェルの表情が初めて、わずかに崩れた。 「ファロスの慈悲を」 もとシスターらしく、短く祈りを捧げる。 そして顔を上げた時には、“華の剣”は復活していた。 急がなくては―― 山賊の存在が、ミシェルの焦りをさらに深めていた。 レイフォルスがやつらに絡まれている可能性もある。 “ピアッサー”であれば必要ないかも知れないが、その時は助太刀せねばならない。 そして伝えるのだ、二人分の感謝の気持ちを――。 闇はもうそこまで来ている。 ブロンドの若き女剣士は、山へと続く道を全速力で駆け出した。
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